「住宅予算は年収の5倍まで」という話を聞いたことはありませんか。
実はこの数字、25年前の収入を基準で算出されたものなのです。

超低金利時代といわれている現代においては、年収から算出される住宅ローン借入れ可能額も大きく伸びているため、「年収の5倍まで」という数字は当てはまりません。
それでは、住宅予算はどのようにして決めればよいのでしょうか。

 

住宅予算を考える時に注意しておきたいポイント

具体的な住宅予算の決め方を解説する前に、注意しておきたいポイントを3つ挙げたいと思います。

 

 

 

物件探しは住宅予算を決めてから

マイホーム購入を決意されたばかりの方は、希望条件が漫然としていることが多く、まずは手始めに不動産サイトなどで物件探しを始めます。
そして気に入った物件を見つけ、いざ資産計画を立ててみたら予算オーバーだったということはよくあるケースです。

予算オーバーだった場合、自己資金を増やして足りない金額を補えれば問題ないですが、たいていの場合は予算内で物件を探し直すことになります。
たとえば、駅から徒歩10分を15分に、築5年以内希望だったのを築10年まで延ばすというふうに、物件予算オーバーだった物件に近い条件で物件を探し直します。
しかし、普段の買い物では1円でも安いものを探して買い物していても、マイホーム購入となると金銭感覚がマヒして「少し予算オーバーしてもいいから理想の家が欲しい!」と考える方は少なくありません。それが大変危険なのです。住宅ローンが組めたとしても、月々の返済が苦しくなる可能性があります。

以上の理由から、自分がいくらの家を買えるか分からないまま物件探しをスタートさせるのは、絶対におすすめできません。お住まい探しは「住宅予算を決めてから、予算内で希望に近い物件を探す」ことが重要なのです。

 

貯蓄はすべて使いきらない

マイホーム購入のために頭金を貯めているという方は多いかと思いますが、貯蓄のすべてを購入資金に使ってしまうのはやめましょう。
新居への引っ越し費用や売買契約を結ぶ際に必要な諸費用、万が一の事態に備えた医療費、教育費、家の修繕費などは残しておきたいところです。また、固定資産税やマンションの方は管理費などのランニングコストについても考慮しておかなければなりません。

 

「無理なく返せる金額」なのか冷静に判断する

たとえあなたと同僚が同じ年収でも、住宅予算は異なります。それはなぜかというと、年収は同じでもマイカーの有無、家族数、保険料、教育費にかける金額など、家庭によって支出額はそれぞれ違うからです。

住宅予算を決めるときに重要なのは、年収から算出した「借りられる金額」よりも「無理なく返せる金額なのか」を見極めることです。
マイホーム購入はとても高額なので、数万の差をあまり大きく感じないこともあります。しかし、いざ月々の返済がスタートすると、その数万に苦しめられてしまうことは少なくありません。
マイホームの購入はそう何度もあることではないので、つい気持ちが高まってしまいますが、無理なく返せる金額なのか冷静に考えることが大切です。

 

 

 

いくらの家が買えるのか?住宅予算を見極めよう!

先述したように、年収は同じでも家庭によって住宅予算は異なります。しかし、何の目安もないまま予算を組むのは困難です。いくらの家が買えるのか、年収別に住宅予算をみていきましょう。

 

年収からみる住宅予算の目安

年収からみた住宅予算は下記のとおりです。

年収

買える物件価格の目安

400万円

3,180万円

500万円

3,940万円

600万円

4,730万円

700万円

5,520万円

800万円

6,300万円

1,000万円

7880万円

年収が400万円の場合、買える物件価格の目安は3,180万円(年収のおおよそ8倍)となります。頭金を用意できるのであれば、予算アップできますが、マイカーローンやキャッシングなどの借り入れがある方や、勤続年数が短いなど方は、住宅ローンの借入可能額が下がるため、住宅予算が下がることもあります。※頭金なし・ボーナス払いなし/35年ローンの場合

限度額ギリギリまで借りてしまうと返済が厳しくなる可能性がありますので、年収の20%以下の返済比率に抑えておきましょう。

返済期間と毎月の返済額の目安

次に、住宅ローンの返済期間や、月々の返済額からみた住宅予算をみていきましょう。

返済期間と毎月の返済額の目安

返済額

返済期間

20年ローン

25年ローン

30年ローン

35年ローン

10万円

2,080万円

2,570万円

3,050万円

3,520万円

12万円

2,500万円

3,090万円

3,660万円

4,220万円

14万円

2,910万円

3,600万円

4,320万円

4,930万円

16万円

3,330万円

4,120万円

4,880万円

5,630万円

18万円

3,750万円

4,630万円

5,550万円

6,340万円

20万円

4,160万円

5,150万円

6,040万円

7,040万円

※金利0.47%・変動金利・頭金・ボーナス払いなし

 

上図をみると分かるように、同じ借入金額でも返済期間が違えば月々の返済額も違います。最長の35年まで延ばせば、月々の返済額は同じでも借入額を増額することができます。

住宅ローンは、後から繰り上げ返済して返済期間を短縮することはできますが、最初に短く組んだ住宅ローンを後から引きのばすことはできません。借主の年齢的な制限がなければ、35年ローンでスタートし、余裕があるときに繰り上げ返済をして返済残高を減らしていくことをおすすめします。

 

 

 

注文住宅で予算オーバーさせないためには

土地を購入後、注文住宅を建てる場合は、「土地代」「建物代」「工事代金」の合計額を住宅予算内に含めて資金計画を立てましょう。

注文住宅で予算オーバーになる原因として多いのが、「土地代と建物代のみで住宅予算を組んでしまった」というケース。注文住宅を建てる際は、土地代と建物代のほかに、外構工事代が必要です。

ただ、予算オーバーする方が多いといっても事前にしっかりと計画を立てておけば防げますので、まずは住宅予算を組んで、自分がいくらの家を購入できるのか、予算内でできるプランはどのようなものがあるのか、明確にしておくことが重要です。

 

まとめ

あらかじめ自分の住宅予算が分かっていれば、予算オーバーは防げます!

マイホームを購入するときに「予算オーバーするのは仕方ない」と思っている方も多いかもしれませんが、住宅ローンの返済が苦しくなってしまっては元も子もありません。各家庭の収入と支出、頭金の有無などを考えてゆとりのある住宅予算を考え、お住まい探しを始めましょう。