意外と知らないお得な制度の中に、「住宅ローン控除」と「すまい給付金」というものがあります。

このふたつの制度を利用すればかなり高額な還付金を受けることができますので、これからマイホームを購入する予定の方や、すでにマイホームを購入したけれど、負担金を少しでも抑えたい!という方は必読です。

住宅ローン控除とすまい給付金とは

適用条件や給付金を説明する前に、住宅ローン控除とすまい給付金についてお話します。

住宅ローン控除は、「住宅借入金等特別控除」「住宅ローン減税」とも呼ばれますが、10 年以上の住宅ローンを利用して住宅購入またはリフォームする人を対象とした優遇制度です。

年末時点の住宅ローン残高の1%相当額を所得税から控除し、控除しきれなかった分の税金は翌年の住民税から控除されます。10年間継続して控除を受けることができるので、適用条件を満たしている方は忘れずに手続きをしたい制度です。

すまい給付金は、増税による住宅取得への金銭的負担を緩和するために創られた制度です。給付額は収入額によって異なるため、年収が少ない人のほうが給付を多く受け取れるという特徴があります。(令和3年12月まで実施予定)

この2つの制度受けるためには適用条件を満たすことと、確定申告などの手続きが必要ですが、これらをクリアすれば併用も可能です。

適用条件については、次項で詳しく説明します。

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金の利用条件

住宅ローン控除、すまい給付金、どちらの条件にも「床面積が50平方メートル以上であること」と定められています。

この条件が指す「床面積」とは、床面積壁の内側を囲んだ「内法」の面積です。広告などに表記される床面積は、壁の内部の中心線を囲んだ「壁芯」のことが多いので、間違えないように注意してくださいね。

 

住宅ローン控除の利用条件

住宅ローン控除を受けるには、以下のような適用条件があります。

住宅ローン控除の対象となる条件

新築・中古共通条件

(1)自分自身が居住する住宅であること

住宅ローン控除は、自分自身が居住する家であることが必須のため、投資用の物件や親族の家などには適用されません。

(2)住宅取得の日から6ヵ月以内に居住、その年の12月31日まで継続して居住すること

家の引き渡し、または工事完了後6ヵ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住することと、住民票を移すことが必要です。

(3)床面積が50平方メートル以上であること

床面積が50平方メートル以上の広さがなければなりません。一戸建ては、各階の床面積の合計、マンションの場合は、専有部分の床面積で算出します。

(4)住宅ローンの借入期間が10年以上であること

9年以下の住宅ローンは適用されません。

(5)適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること

1年でも年収が3,000万円を超えた場合、それ以降の年は住宅ローン控除を受けることができません。住宅ローン契約時の年収が3,000万円以上であれば、初年度から控除が受けられないということになります。

中古住宅の場合

(1)築年数が以下の規定の年数以内であること

・鉄筋造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物…築25年以内

・木造などで建てられた非耐火建築物の場合…築20年以内

(築20年以上の場合は、耐震基準に適合していることを証明する必要があります。耐震基準適合証明書、または耐震等級1以上と認められた既存住宅性能評価書、または、既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要です)

リフォームの場合

(1)工事費100万円以上

リフォームの場合は、工事費が100万円以上の住宅が対象となります。

 

すまい給付金の利用条件

すまい給付金の措置を受けるには、以下のような適用条件があります。

すまい給付金の対象となる条件

(1)年収775万円以下(家族構成によって異なります)

(2)住宅ローンを利用すること(50歳以上かつ年収650万円以下であれば利用しなくても可)

(3)自分が住む住居であること

(4)床面積が50平方メートル以上であること

(5)品質が担保された住宅であること

・新築…住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用

・中古…不動産会社が売主であること。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入または既存住宅性能表示制度を利用すること。

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金でもらえるお金の違い

次に、住宅ローン控除とすまい給付金でどのくらいの減税や給付が受けられるのかをみていきましょう。

 

住宅ローン控除の減税額

住宅ローン控除が受けられるのは最大400万円(40万円×10年間)で、所得税から納めた分の税金が控除されます。

たとえば、年末の時点で住宅ローン残高が4000万円ある場合は、控除率が1%なので40万円の税額控除となります。

納めている所得税額が40万円に満たない場合は、差額分が住民税より控除されます。ただし、所得税の課税総所得金額などの7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となります。

文字だけで説明されてもイメージしにくいかと思いますので、年収600万円を例に試算してみましょう。

【条件】

年収:600万円

所得税:16万円

住民税:27万円

購入物件:4,500万円

住宅ローン:金利(全期間固定)1.0%・35年返済

年末時点でのローン残高:3904万円

控除額の上限:3904万円×1%=約39万円

所得税額は16万円(A)なので全額控除されます。

控除し切れていないのは23万円です。

住民税からは、所得税の課税対象額298万円の7%、約20万円となりますが、住民税からの控除上限額は前年課税所得の7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となるので、13万6500円(B)が控除されます。

(A)(B)を合計した約29万6500円が控除されることになります。

住宅ローン控除は、所得税や住民税から控除されるため、年収が多いほうが還付金を多く受け取れるという特徴がありますが、所得税や住民税以上の減税を受けることはできません。実際に控除されるのは、年末時点でのローン残高の1%よりも少ない金額になるということを理解しておきましょう。

 

すまい給付金の給付額

消費税10%への増税に伴い、給付金の年収上限が510万円以下から775万円以下に拡大され、給付金の最大額が30万円から50万円になりました。

消費税10%への増税後の給付金は下記のとおりです。

年収

給付金

年収450万円以下

50万円

年収525万円以下

40万円

年収600万円以下

30万円

年収675万円以下

20万円

年収775万円以下

10万円

※給付金の額は、年収や家族構成によって異なりますので、詳しくはすまい給付金のホームページをご確認ください。

http://sumai-kyufu.jp/

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金の申し込み方法

住宅ローン控除もすまい給付金も、所定の手続きが必要になります。

【住宅ローン控除】

確定申告が必要(ただし初年度だけで、翌年からは勤務先に住宅ローンの残高証明書を提出すれば年末調整で手続きが完了します)

必要書類

・住民票の写し

・残高証明書

・登記事項証明書・請負(売買)契約書

・源泉徴収票

※中古の場合は3つの内いずれかを用意します。

・耐震基準適合証明書

・既存住宅性能評価書

・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

【すまい給付金】

すまい給付金のホームページから給付申請書をダウンロードするか、すまい給付金申請窓口で給付申請書をもらいます。給付申請書はすまい給付金事務局に郵送、または全国のすまい給付金申請窓口に持参しても構いません。

必要書類

・住民票の写し

・個人住民税の課税証明書

・建物の登記事項証明書・謄本

・住宅の不動産売買契約書または工事請負契約書

・住宅ローンの金銭消費貸借契約書

 

 

 

まとめ

住宅ローン控除とすまい給付金は併用できます!

住宅ローン控除も住まい給付金もかなりお得な制度ですから、条件を満たしていれば利用しない手はありません。マイホームを購入したら利用したいと考えている方は、購入したい物件が条件を満たしているかチェックしておきましょう。ふたつの制度を併用することもできますので、ぜひ見逃さずに申請してください。