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【分割融資?つなぎ融資?】土地を購入して家を建てるときの段取りと費用

建売住宅やマンション購入とは異なり、注文住宅は費用の支払い時期や回数、住宅ローンの組み方などが少し複雑です。あとから慌てることがないように、注文住宅に建てるときに注意しておきたい資金面のポイントや、支払い時期などを確認しておきましょう。

 

注文住宅を建てるときに注意しておきたい資金面のポイント

注文住宅に建てるときに注意しておきたい最大のポイントはこれから説明する2つです。もちろん、細かくいえば他にもいろいろありますが、資金面で特におさえておいてもらいたいことをお話します。

 

 

 

家が完成するまで複数回の支払いが発生する

ハウスメーカーや工務店、購入した土地の条件によって支払い時期は異なりますが、土地を購入して注文住宅を建てる場合、一般的に以下のような流れで取引されます。

1回目の支払い:土地の契約(手付金の支払い)

2回目の支払い:土地の引き渡し(残金支払い)

3回目の支払い:建物工事着工(着工金の支払い)

4回目の支払い:建物工事上棟(中間金の支払い)

5回目の支払い:建物完成、引き渡し(残金支払い)

多くの場合、土地の引き渡しを受けた後、建物完成までに何回かに分けて工事代金を支払います。

ここで注意しなければならないのは、住宅ローンが実行されるのは、建物完成時であること。注文住宅を建てる際は、建物が完成するまでの間に着工金や中間金の支払いなど、複数回に分けて支払いが発生するのです。

「そんなの全部住宅ローンで払えばいいでしょ」とお考えの方は要注意。注文住宅で住宅ローンを組むときは、建売住宅とは異なり、どのようにローンを組むかをしっかりと考えておく必要があるのです。次項で詳しく解説します。

 

住宅ローンの借り方を考えておく

着工金や中間金も手持ちの資金から出せれば問題ないですが、多くの方は土地の購入時で手持ちの資金を使い、後半の建物着工時や中間金を支払うときに手持ちの資金が不足します。マイホーム購入時には仲介手数料や印紙税などの諸費用もかかるため、手持ちの資金をすべて使ってしまうことはおすすめしません。

そこで必要になるのが住宅ローンです。

注文住宅を建てる方が住宅ローンを利用するときに比較されるのは、土地代と建物代、それぞれ住宅ローンを組む「2本立て」と、住宅ローンの融資が実行されるまでの間に必要な着工金や中間金などを一時的に用立てる「つなぎ融資」や「分割実行(分割融資)」です。

どちらにしようか悩まれる方が多い「つなぎ融資」と「分割実行(分割融資)」のメリットデメリットを下記にまとめましたので参考にしてください。

・つなぎ融資

メリット:抵当権を設定しなくても利用できる。

デメリット:無担保融資のため金利が高く、住宅ローン控除の対象外。

・分割実行(分割融資)

メリット:金利は住宅ローンと同じで、条件を満たせば住宅ローン控除が受けられる。

デメリット:手数料や登記費用がつなぎ融資より高く、土地と建物の抵当権設定費用がそれぞれ必要。

どちらのローンもすべての金融機関が扱っているわけではありません。また、分割実行の場合は、金融機関側に貸し倒れのリスクがあるため、頭金が少ないと最優遇の金利で借りられない可能性もあります。

また、金融機関によっては、建物完成前に住宅ローンを分割実行してくれるところもありますが、通常の住宅ローンよりも審査が厳しくなる点などにも注意しておきましょう。

 

 

 

注文住宅を建てるときのスケジュールと必要な費用

それでは、土地を購入して注文住宅を建てるときの流れと必要な費用をみていきましょう。

 

土地を購入するときの費用

土地を購入するときに必要な費用は下記のとおりです。

支払い時期

諸費用

内容

売買契約時

手付金

売買契約時に売主に支払います。相場は土地代の10%とされています。土地代の一部を先に支払うため、支払った分は最終的に土地代から差し引かれます。契約から引き渡しまでの間に買主の都合で契約を辞退する場合は返金されませんが、売主の都合で契約解除された場合は、売主から買主に手付金の2倍の金額を支払うことになっています。

印紙代

売買契約の書面に貼るための印紙代です。契約時に現金で支払います。(印紙代は土地代によって異なります)

仲介手数料

仲介を行った不動産会社に支払います。物件価格の3%+6万+消費税が上限とされています。売買契約時に50%を支払い、決済時に残りの50%を支払います。

 

支払い時期

諸費用

内容

引き渡し前

残金決済

土地代から手付金を差し引いた残金を支払います。住宅ローンを利用する場合は、当日に融資が実行されるので、残金は住宅ローンで支払います。

登記費用

自分で登記を行うことも出来ますが、とても手間がかかるため司法書士に依頼することが一般的です。すべての費用の総合計の相場は30万円~50万円、その内、約2/3程度は司法書士への報酬となります。

印紙代

住宅ローン契約書に貼るための印紙代です。(金額は土地代によって異なります)

ローン借入費用

融資事務手数料、ローン保証料、火災保険料など。(金額は、金融機関によって異なります)

固定資産税や都市計画税(日割)

所有権移転日以降から固定資産税が発生します。所有権の移転日から年末までの固定資産税(日割分)を売り主に支払います。

 

家を建築するときの費用

土地の引き渡しを受けたら、建物の建築に入ります。

建築費用は、ハウスメーカーや工務店にもよって段取りや支払い時期、回数は異なりますが、下記のように4回程に分けて支払うことが一般的です。

請負契約時…契約金(工事費用の約10%)

着工時…着工金(工事費用の約30%)

上棟時…中間金(工事費用の約30%)

引き渡し前…建築費の残代金(工事費用の約30%)

注文住宅を建てるときの流れと必要な費用は下記のとおりです。

支払い時期

諸費用

内容

工事請負契約の前後

地盤調査費

敷地の測量、法的制限のチェック、周辺状況の調査を行います。費用の相場は5万円~10万円です。

印紙代

工事請負契約書に印紙を貼付するために必要です。(金額は建築代により異なります)

建築確認申請費用

申請は建築会社が代行します。費用は10~20万円が目安です。

着工

地鎮祭費

地鎮祭(じちんさい)とは、着工前に行う工事の無事を願って行う儀式のことです。謝礼は2~3万円(別途お車代で5千円~1万円)、お供え物の費用が2~3万円で計5万円前後必要です。

上棟

上棟式費

建築がある程度完了してから執り行う行事のことで、「棟上げ」「建前(たてまえ)」とも呼びます。費用や内容には地域差がありますが、簡易的なものであれば10万円前後が目安です。

住宅ローン契約

印紙代

住宅ローンを土地と建物で別々に借りる場合に必要です。(金額は建築代により異なります)

引き渡し

登記費用

自分で登記を行うことも出来ますが、とても手間がかかるため司法書士に依頼することが一般的です。すべての費用の総合計の相場は30万円~50万円、その内、約2/3程度は司法書士への報酬となります。

ローン借入費用

融資事務手数料、ローン保証料、火災保険料など。金額は金融機関によって異なります。

※つなぎ融資を利用する場合は、利息のほかに印鑑証明、手数料などが別途必要です。

 

引き渡し後にかかる費用

建物が完成し、引き渡しが完了したタイミングで必要な費用をみていきましょう。

諸費用

内容

引っ越し費用

引っ越し先の距離や荷物の数にもよりますが、相場は5~12万円ぐらいです。2~3月の引っ越しのシーズンは、さらに高額になります。

新居の家具代

新居に置く家具や家電の費用も予算に入れておきましょう。どこからどこまで揃えるかにもよりますが、80~150万円程必要と言われています。こだわればこだわるほど費用がかさむので、必須の家具・家電から優先的に決めていくことをおすすめします。

 

ずっとかかる費用(ランニングコスト)

家を建てたらそれで終わり、というわけにもいきません。マイホーム購入後にかかる費用(ランニングコスト)を何にいくらかかるのかまとめましたので参考にしてください。

諸費用

内容

不動産取得税

不動産を取得した者が課税する地方税です。不動産取得税申告を終えて半年以内に納付書が届きます。算出方法は「不動産取得税の納税額=取得した不動産の価格(課税標準額)×税率」となります。

固定資産税

土地や建物を所有している者に対して課せられる税金です。納税額は「課税標準額(固定資産評価額)×標準税率」で算出され、3年に1度、評価額が見直されます。

都市計画税

市街化区域内に土地・建物を所有している者に課せられる税金です。市街化調整区域内の不動産(土地・建物)には都市計画税はかかりません。「課税標準額×上限0.3%」で算出されます。

火災保険・地震保険

住宅ローンを借りる場合、火災保険への加入は必須です。保険料は建物の構造や所在地などで変わりますが、平均額は年間10,000円~20,000円程です。

地震保険は単体で加入することはできないため、火災保険合わせて加入する必要があります。国と共同運営の保険のため、どこの保険会社でも金額は一律となります。

家のメンテナンス費用

木造住宅の耐用年数は22年といわれています。もちろん、自然災害などにより屋根や外壁などの修理が急に必要になることもあります。万が一の時に慌てることがないよう、日頃から貯蓄をしておきましょう。

 

 

 

まとめ

家のプランも大切ですが、資金面のこともしっかりと計画を立てておきましょう。

自分が思い描いた理想の家が手に入る一方で、建売住宅とは異なり、土地代金、着工金、中間金など段階的に費用を支払う必要があり、住宅ローンの選び方も複雑な面があります。

これらの費用を支払う際に手持ちの資金が不足している場合は、つなぎ融資や分割実行を利用するという方法も検討してみてください。注文住宅を建てるときに重要なのは、家のプランだけではなく、資金面の計画です。何にいついくら

かかるのか、手持ちの資金はどのくらい使うのか、住宅ローンはどのように組むのか、細かく計画を立てておきましょう。

知らないと損!「住宅ローン控除」と「すまい給付金」

意外と知らないお得な制度の中に、「住宅ローン控除」と「すまい給付金」というものがあります。

このふたつの制度を利用すればかなり高額な還付金を受けることができますので、これからマイホームを購入する予定の方や、すでにマイホームを購入したけれど、負担金を少しでも抑えたい!という方は必読です。

住宅ローン控除とすまい給付金とは

適用条件や給付金を説明する前に、住宅ローン控除とすまい給付金についてお話します。

住宅ローン控除は、「住宅借入金等特別控除」「住宅ローン減税」とも呼ばれますが、10 年以上の住宅ローンを利用して住宅購入またはリフォームする人を対象とした優遇制度です。

年末時点の住宅ローン残高の1%相当額を所得税から控除し、控除しきれなかった分の税金は翌年の住民税から控除されます。10年間継続して控除を受けることができるので、適用条件を満たしている方は忘れずに手続きをしたい制度です。

すまい給付金は、増税による住宅取得への金銭的負担を緩和するために創られた制度です。給付額は収入額によって異なるため、年収が少ない人のほうが給付を多く受け取れるという特徴があります。(令和3年12月まで実施予定)

この2つの制度受けるためには適用条件を満たすことと、確定申告などの手続きが必要ですが、これらをクリアすれば併用も可能です。

適用条件については、次項で詳しく説明します。

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金の利用条件

住宅ローン控除、すまい給付金、どちらの条件にも「床面積が50平方メートル以上であること」と定められています。

この条件が指す「床面積」とは、床面積壁の内側を囲んだ「内法」の面積です。広告などに表記される床面積は、壁の内部の中心線を囲んだ「壁芯」のことが多いので、間違えないように注意してくださいね。

 

住宅ローン控除の利用条件

住宅ローン控除を受けるには、以下のような適用条件があります。

住宅ローン控除の対象となる条件

新築・中古共通条件

(1)自分自身が居住する住宅であること

住宅ローン控除は、自分自身が居住する家であることが必須のため、投資用の物件や親族の家などには適用されません。

(2)住宅取得の日から6ヵ月以内に居住、その年の12月31日まで継続して居住すること

家の引き渡し、または工事完了後6ヵ月以内に居住し、その年の12月31日まで継続して居住することと、住民票を移すことが必要です。

(3)床面積が50平方メートル以上であること

床面積が50平方メートル以上の広さがなければなりません。一戸建ては、各階の床面積の合計、マンションの場合は、専有部分の床面積で算出します。

(4)住宅ローンの借入期間が10年以上であること

9年以下の住宅ローンは適用されません。

(5)適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること

1年でも年収が3,000万円を超えた場合、それ以降の年は住宅ローン控除を受けることができません。住宅ローン契約時の年収が3,000万円以上であれば、初年度から控除が受けられないということになります。

中古住宅の場合

(1)築年数が以下の規定の年数以内であること

・鉄筋造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物…築25年以内

・木造などで建てられた非耐火建築物の場合…築20年以内

(築20年以上の場合は、耐震基準に適合していることを証明する必要があります。耐震基準適合証明書、または耐震等級1以上と認められた既存住宅性能評価書、または、既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要です)

リフォームの場合

(1)工事費100万円以上

リフォームの場合は、工事費が100万円以上の住宅が対象となります。

 

すまい給付金の利用条件

すまい給付金の措置を受けるには、以下のような適用条件があります。

すまい給付金の対象となる条件

(1)年収775万円以下(家族構成によって異なります)

(2)住宅ローンを利用すること(50歳以上かつ年収650万円以下であれば利用しなくても可)

(3)自分が住む住居であること

(4)床面積が50平方メートル以上であること

(5)品質が担保された住宅であること

・新築…住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用

・中古…不動産会社が売主であること。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入または既存住宅性能表示制度を利用すること。

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金でもらえるお金の違い

次に、住宅ローン控除とすまい給付金でどのくらいの減税や給付が受けられるのかをみていきましょう。

 

住宅ローン控除の減税額

住宅ローン控除が受けられるのは最大400万円(40万円×10年間)で、所得税から納めた分の税金が控除されます。

たとえば、年末の時点で住宅ローン残高が4000万円ある場合は、控除率が1%なので40万円の税額控除となります。

納めている所得税額が40万円に満たない場合は、差額分が住民税より控除されます。ただし、所得税の課税総所得金額などの7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となります。

文字だけで説明されてもイメージしにくいかと思いますので、年収600万円を例に試算してみましょう。

【条件】

年収:600万円

所得税:16万円

住民税:27万円

購入物件:4,500万円

住宅ローン:金利(全期間固定)1.0%・35年返済

年末時点でのローン残高:3904万円

控除額の上限:3904万円×1%=約39万円

所得税額は16万円(A)なので全額控除されます。

控除し切れていないのは23万円です。

住民税からは、所得税の課税対象額298万円の7%、約20万円となりますが、住民税からの控除上限額は前年課税所得の7%、または13万6500円のうち小さいほうの金額が上限となるので、13万6500円(B)が控除されます。

(A)(B)を合計した約29万6500円が控除されることになります。

住宅ローン控除は、所得税や住民税から控除されるため、年収が多いほうが還付金を多く受け取れるという特徴がありますが、所得税や住民税以上の減税を受けることはできません。実際に控除されるのは、年末時点でのローン残高の1%よりも少ない金額になるということを理解しておきましょう。

 

すまい給付金の給付額

消費税10%への増税に伴い、給付金の年収上限が510万円以下から775万円以下に拡大され、給付金の最大額が30万円から50万円になりました。

消費税10%への増税後の給付金は下記のとおりです。

年収

給付金

年収450万円以下

50万円

年収525万円以下

40万円

年収600万円以下

30万円

年収675万円以下

20万円

年収775万円以下

10万円

※給付金の額は、年収や家族構成によって異なりますので、詳しくはすまい給付金のホームページをご確認ください。

http://sumai-kyufu.jp/

 

 

 

住宅ローン控除とすまい給付金の申し込み方法

住宅ローン控除もすまい給付金も、所定の手続きが必要になります。

【住宅ローン控除】

確定申告が必要(ただし初年度だけで、翌年からは勤務先に住宅ローンの残高証明書を提出すれば年末調整で手続きが完了します)

必要書類

・住民票の写し

・残高証明書

・登記事項証明書・請負(売買)契約書

・源泉徴収票

※中古の場合は3つの内いずれかを用意します。

・耐震基準適合証明書

・既存住宅性能評価書

・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

【すまい給付金】

すまい給付金のホームページから給付申請書をダウンロードするか、すまい給付金申請窓口で給付申請書をもらいます。給付申請書はすまい給付金事務局に郵送、または全国のすまい給付金申請窓口に持参しても構いません。

必要書類

・住民票の写し

・個人住民税の課税証明書

・建物の登記事項証明書・謄本

・住宅の不動産売買契約書または工事請負契約書

・住宅ローンの金銭消費貸借契約書

 

 

 

まとめ

住宅ローン控除とすまい給付金は併用できます!

住宅ローン控除も住まい給付金もかなりお得な制度ですから、条件を満たしていれば利用しない手はありません。マイホームを購入したら利用したいと考えている方は、購入したい物件が条件を満たしているかチェックしておきましょう。ふたつの制度を併用することもできますので、ぜひ見逃さずに申請してください。

「頭金は2割必要」という考えはもう古い!頭金を貯めるまで家を買わないリスク

「家を購入するとき、頭金はいくら用意すべきか」は長らく議論されていることです。頭金についてネットや本で調べてみると、多くのファイナンシャルプランナーが頭金は2割、3割貯めましょうと言っています。

この記事を読んでいる方は、少なからず頭金の必要性に疑問を持たれているのではないでしょうか。頭金が貯まるまで家を買わないか、今買うべきか悩みつつも、何となく頭金を貯めているという方も多いかもしれません。

結論から申し上げますと、頭金を貯めるまで家を買わないというのはおすすめしません。その理由を記事内で詳しく解説します。

 

 

 

「家を買うなら頭金が必要」といわれているのはなぜ?

なぜ「頭金なしで家を購入するのは危険」「頭金は2割必要」といわれているのでしょうか。

 

昔は頭金がないと住宅ローンが通らなかった

かつての金融機関は、頭金を2割入れてもらうことで借主の返済負担額を抑え、住宅ローンの貸し倒れリスクを減らそうとしていました。

そのため、融資可能な金額を物件価格の8割までとし、頭金を2割用意できないと住宅ローンが通りませんでした。

このような経緯があるため「頭金は2割貯めなさい」と親世代から言われることもあるかと思いますが、現代においてその定説は「安心」ではありますが「正解」ではありません。

かつてマイホームの購入は頭金が必ず必要だったのでハードルが高いことでしたが、現在は購入価格全額を融資するフルローン(頭金なし)もあり、そういったハードルは低くなりました。頭金が絶対必要!という時代は終わったのです。

 

頭金が少ないと総返済額が高くなる

頭金は多ければ多いほど住宅ローンの借入額が減るので、月々の返済額を抑えることができます。

文字ではイメージしにくいので、返済額のシミュレーションを図にして考えてみましょう。

頭金

0円

100万円

300万円

400万円

月々の返済額

12万5,000円

12万2,000円

11万5,000円

10万4,000円

総返済額

5,250万円

5,124万円

4,830万円

4,368万円

(金利:頭金400万円は1.17%、その他は1.61%)

頭金を400万円支払うと、融資率が9割以下になり金利が下がるため、頭金が0円の場合に比べて総返済額におよそ900万円の差がつきます。

同じ価格の物件でも、頭金を多く支払えば支払うほど住宅ローンの負担は減り、反対に頭金を少なければ住宅ローンの負担は増えます。このような話を聞くと、たくさん頭金を払いたくなりますが、頭金を支払ったことで生活が苦しくなっては本末転倒です。

 

フラット35を利用する場合は金利が高くなる

住宅ローンによっては頭金がどれくらいあるかで金利が高くなることがあります。フラット35もそのひとつです。

2020年7月時点の取扱金融機関が提供する金利の範囲と最も多い金利を確認してみましょう。

【フラット35】 借入期間:21年以上35年以下

融資率

金利の範囲

最も多い金利

9割以下

年1.300%~年2.060%

年1.300%

9割超

年1.560%~年2.320%

年1.560%

フラット35の場合、購入価格に対して住宅ローンの借入額が9割を超えてしまうと金利が0.26%高くなってしまいます。

自営業の方や個人事業主の方はフラット35を検討されている方も多いかと思いますが、頭金が少ないと金利が高くなることを把握しておきましょう。

 

 

 

「頭金が貯まるまで家を買わない」人が抱えるリスク

頭金はないよりはある方が良いのは間違いありません。しかし、頭金が貯まるまで家を買わない選択するのは果たして正解なのでしょうか。リスクはまったくないのでしょうか。答えはNOです。その理由をお話します。

 

今後金利が上がる可能性が高い

近年の住宅ローンの金利は0.4%~1.5%程度となっており、超低金利時代といわれています。

さすがにこれ以上金利を下げる可能性は低く、むしろ上がる可能性が高いでしょう。今なら低い金利で設定されていますから、頭金は支払える範囲でも、頭金0円でも借り入れできるのであればそれで問題ありません。

むしろ、心配しなければならないのは、頭金を貯めている間に金利が上がる可能性や引下げ金利(優遇金利)が無くなってしまう可能性が高いこと。

35年返済の場合、住宅ローンの金利が0.1%上がると総返済額は52万円増えます。この52万円をプラマイゼロにしようとするなら頭金は120万円必要になります。つまり、住宅ローンの金利が0.1%上がると、何年もかけて貯めていた120万円の意味がなくなってしまうということです。

 

働き盛りに住宅ローンが返せない

住宅ローン申込時の年齢が高くなればなるほど、返済する期間が短くなってしまいます。返済期間が短くなれば、当然月々の返済額も高くなります。

そして、年齢が高くなると団体信用生命保険(以下、団信)に加入できないおそれも出てきます。住宅ローンの借り入れの条件として団信の加入は必須ともいえます。

団信は、申込時に健康状態を告知し、その内容をもとに審査されます。直近に大きな病気をしたなど健康状態が良くない場合は、団信に加入できず民間金融機関の住宅ローンを借りることはできないということが起こりえます。

やむを得ない事情がなければ、頭金が貯まるのを待つよりも働き盛りのうちに家を買ったほうがいいでしょう。

 

頭金を貯めている間も家賃を支払う

現在、賃貸にお住まいの場合は、頭金を貯める間も家賃が発生します。たとえば、毎月8万円の家賃を5年間払えば480万円にもなります。

480万円払っても、何も残りません。自分のものにもなりません。それなら金利が低い今のうちに住宅ローンを組んで、早くローンを返すなりお金を運用したほうが得策です。

 

 

 

まとめ

若くて健康な働き盛りの時代を、頭金を貯めるために費やすのはもったいない。

頭金があれば月々の返済額を抑える効果があるので安心なのは間違いないですが、ご自身の年齢によっては何年もかけて頭金を貯めるのもリスクがあります。いつか買うなら、今が絶対買い時。いつか住宅ローンを組むのなら、若くて働き盛りのうちに組むことをおすすめします。また、今後の金利上昇の可能性もあわせて、マイホーム購入のタイミングを見極めてくださいね。

仲介手数料の仕組みを徹底解説!「仲介手数料無料」のからくりも教えます

お住まい探しはじめると、不動産会社によって仲介手数料の金額に差があることに気付きませんか?扱う商品(物件)は同じなのに不思議ですよね。

仲介手数料の仕組みや必要性については、お客様側からは見えにくい部分ですので、なぜ仲介手数料を払わないといけないのか不満に思う方もいらっしゃるかと思います。この記事を読んでいただいて仲介手数料の理解を深めていただけますと幸いです。

 

売買における仲介手数料とは

不動産会社は、仲介手数料で利益を得ています。そして、完全後払いの報酬システム。成約して初めて仲介手数料が発生します。

たとえば、不動産を売却するとき、不動産会社に仲介業務を依頼して買い手を探してもらったとします。そして、無事成約となったら不動産会社の報酬として支払うのが仲介手数料です。成功報酬なので、成約前に前払いで仲介手数料を支払うことはありません。

成功報酬といっても、具体的に何をしているのか気になりますよね。

不動産会社の集客能力や営業能力によっても異なりますが、多くの不動産会社は、物件の販売開始から成約に至るまで様々な販売活動をしています。

たとえば、不動産情報サイトへの掲載、掲載前の物件の撮影、広告の制作、ポスティング、購入希望者に物件案内などです。さらには、売主と買主の橋渡し役も行います。双方の契約条件の調整、売買契約書類の作成、売買契約から引き渡しまでの事務手続きやスケジュール調整なども行います。

これらの販売活動には、多くの人的コスト、金銭的コストがかかっていて、売買が成立してはじめて成功報酬として仲介手数料が支払われます。お客様側からは見えにくい部分ではありますが、売却の場合はいち早く買い手がつくように、マイホームをお探しの場合には希望に合った物件が見つかるように、不動産会社では様々な活動を行っています。

 

 

 

仲介手数料の相場と計算方法

仲介手数料は、いくらに設定しても自由というわけではなく、法律で上限額が定められています。ここでは、仲介手数料の相場と計算方法を解説します。

仲介手数料には上限がある

仲介手数料は、宅地建物取引業法により定められた上限額があります。

不動産会社に支払う仲介手数料の上限は、下記のように定められています。

売買価格(税込)

上限額

200万円以下の部分

取引物件価格(税抜)×5%+消費税

200万円超400万円以下の部分

取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税

400万円超

取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

 

ただし、法律で定められているのはあくまでも上限額で、下限額については定められていません。つまり、上限額以下であれば不動産会社が仲介手数料の金額を自由に決めることができるということです。そのため、不動産会社の中には、仲介手数料を半額、または無料にしてお得さを演出することもあります。

 

 

 

仲介手数料の計算方法

仲介手数料は、売買価格(税込)によって算出できる速算式があります。売買価格が4,000万円を例として実際に計算してみましょう。

売買価格(税込)

計算式

200万円超、400万円以下

売買価格×4%+2万円+消費税

売買価格が400万円超

売買価格×3%+6万円+消費税

売買価格は400万円超なので、「仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税」の計算式を使います。

4,000万円×3%+6万円+消費税(10%)=138万6,000円

仲介手数料は138万6,000円ということになります。

仲介手数料がすぐ分かるよう、下記に早見表をご用意しました。ぜひ参考にしてください。

仲介手数料の早見表(消費税10%)

売買価格(税抜)

仲介手数料

100万円

55,000円

200万円

110,000円

300万円

154,000円

400万円

198,000円

500万円

231,000円

600万円

264,000円

700万円

297,000円

800万円

330,000円

900万円

363,000円

1,000万円

396,000円

2,000万円

726,000円

3,000万円

1,056,000円

4,000万円

1,386,000円

5,000万円

1,716,000円

6,000万円

2,046,000円

7,000万円

2,376,000円

8,000万円

2,706,000円

9,000万円

3,036,000円

1億円

3,366,000円

 

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料はいつ不動産会社に支払うのでしょうか?支払うタイミングや支払い方法についても解説します。

不動産売買は、大きくいうと下記のような流れで進みます。

1.購入申し込み

2.重説の説明を受ける

3.売買契約を結ぶ(仲介手数料50%支払う)

4.住宅ローン本審査

5.引渡し(仲介手数料50%支払う)

先述したとおり、仲介手数料は成功報酬ですので、成約前に請求されることはありません。

最初に仲介手数料を支払うのは「3.売買契約を結ぶ」ときです。売買契約では「重要事項説明書」と「売買契約書」の読み合わせと署名・捺印、売主への手付金の支払いを行います。このときに、不動産仲介会社に対して仲介手数料の50%を支払います。

そして売買契約後、住宅ローンの手続きを行い、引き渡し完了時に仲介手数料残りの50%を支払います。

支払い方法は、振込やクレジットカード払い、分割払いにも対応している不動産会社もありますが、現金払いが一般的です。ただ、仲介手数料は高額なので持ち歩くのが不安な方もいらっしゃいます。その場合は不動産会社に相談して振込で対応してもらいましょう。

 

「仲介手数料無料」のからくり

不動産会社の中には、仲介手数料が半額、または無料と謳っている会社があります。お客様からすれば、「払わなくてもいいのであれば払いたくない」と考えるのは普通のことです。

しかし、一見お得に見える仲介手数料無料には落とし穴があります。

そもそも、仲介手数料は法律で上限が決められているだけなので、上限以下であれば仲介手数料をいくらにするかは不動産会社の自由です。そのため、無料にするという選択ももちろんあるわけですが、収入源である仲介手数料を無料にしたらどのように不動産会社の利益はどうなるのか不思議に思いませんか?

実はこれには不動産会社の裏事情、からくりがあるのです。

不動産業界において、売主または買主どちらかの仲介手数料を無料にすることを「片手取引」、両方から仲介手数料をもらうことを「両手取引」といいます。

当然、両方から仲介手数料をもらったほうが儲かります。それなのになぜ片方を無料にするのかというと、売買契約を早期にまとめる狙いがあります。

仲介手数料無料にして契約を早々にまとめてしまえば、買主側からは「仲介手数料が無料だった」と喜ばれ、売主側からも「早く売却してくれた」という高評価を得ることができます。近年ではネットでの口コミを重視する方も多いため、このような高評価を拡散してもらうことで、次のお客様を呼び寄せることが期待できるのです。

「仲介手数料が無料になるのならこのような裏事情はどうでもいい」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不動産会社の中には、仲介手数料無料にする代わりに物件価格を上乗せしたり、不要なサービス料を請求したり、強引に契約を迫ったりする所も存在します。

最も多く恐ろしいケースとしては、仲介会社から、仲介手数料が0円=お客さまではないと判断され、売主がふd

もちろん、手数料無料を謳っている不動産会社のすべてがそうだとは限りませんが、こういったリスクもあるということも把握しておきましょう。

 

まとめ

仲介手数料の金額だけで判断せず、“中身”で不動産会社を選ぶことが大切

記事内で解説したとおり、仲介手数料が安ければお得、というわけでもありません。仲介手数料無料という謳い文句にひかれて契約してしまうと、結果的に損をしてしまうこともあります。不動産会社を選ぶ上で大切なのは、その会社に売却やお住まい探しをスムーズに進めるための集客能力や営業能力があるかどうかです。仲介手数料は確かに高額ですが、安い高いだけで判断せず、信頼できる不動産会社を選んでくださいね。

 

予算オーバーさせない!「住宅予算」の決め方

「住宅予算は年収の5倍まで」という話を聞いたことはありませんか。
実はこの数字、25年前の収入を基準で算出されたものなのです。

超低金利時代といわれている現代においては、年収から算出される住宅ローン借入れ可能額も大きく伸びているため、「年収の5倍まで」という数字は当てはまりません。
それでは、住宅予算はどのようにして決めればよいのでしょうか。

 

住宅予算を考える時に注意しておきたいポイント

具体的な住宅予算の決め方を解説する前に、注意しておきたいポイントを3つ挙げたいと思います。

 

 

 

物件探しは住宅予算を決めてから

マイホーム購入を決意されたばかりの方は、希望条件が漫然としていることが多く、まずは手始めに不動産サイトなどで物件探しを始めます。
そして気に入った物件を見つけ、いざ資産計画を立ててみたら予算オーバーだったということはよくあるケースです。

予算オーバーだった場合、自己資金を増やして足りない金額を補えれば問題ないですが、たいていの場合は予算内で物件を探し直すことになります。
たとえば、駅から徒歩10分を15分に、築5年以内希望だったのを築10年まで延ばすというふうに、物件予算オーバーだった物件に近い条件で物件を探し直します。
しかし、普段の買い物では1円でも安いものを探して買い物していても、マイホーム購入となると金銭感覚がマヒして「少し予算オーバーしてもいいから理想の家が欲しい!」と考える方は少なくありません。それが大変危険なのです。住宅ローンが組めたとしても、月々の返済が苦しくなる可能性があります。

以上の理由から、自分がいくらの家を買えるか分からないまま物件探しをスタートさせるのは、絶対におすすめできません。お住まい探しは「住宅予算を決めてから、予算内で希望に近い物件を探す」ことが重要なのです。

 

貯蓄はすべて使いきらない

マイホーム購入のために頭金を貯めているという方は多いかと思いますが、貯蓄のすべてを購入資金に使ってしまうのはやめましょう。
新居への引っ越し費用や売買契約を結ぶ際に必要な諸費用、万が一の事態に備えた医療費、教育費、家の修繕費などは残しておきたいところです。また、固定資産税やマンションの方は管理費などのランニングコストについても考慮しておかなければなりません。

 

「無理なく返せる金額」なのか冷静に判断する

たとえあなたと同僚が同じ年収でも、住宅予算は異なります。それはなぜかというと、年収は同じでもマイカーの有無、家族数、保険料、教育費にかける金額など、家庭によって支出額はそれぞれ違うからです。

住宅予算を決めるときに重要なのは、年収から算出した「借りられる金額」よりも「無理なく返せる金額なのか」を見極めることです。
マイホーム購入はとても高額なので、数万の差をあまり大きく感じないこともあります。しかし、いざ月々の返済がスタートすると、その数万に苦しめられてしまうことは少なくありません。
マイホームの購入はそう何度もあることではないので、つい気持ちが高まってしまいますが、無理なく返せる金額なのか冷静に考えることが大切です。

 

 

 

いくらの家が買えるのか?住宅予算を見極めよう!

先述したように、年収は同じでも家庭によって住宅予算は異なります。しかし、何の目安もないまま予算を組むのは困難です。いくらの家が買えるのか、年収別に住宅予算をみていきましょう。

 

年収からみる住宅予算の目安

年収からみた住宅予算は下記のとおりです。

年収

買える物件価格の目安

400万円

3,180万円

500万円

3,940万円

600万円

4,730万円

700万円

5,520万円

800万円

6,300万円

1,000万円

7880万円

年収が400万円の場合、買える物件価格の目安は3,180万円(年収のおおよそ8倍)となります。頭金を用意できるのであれば、予算アップできますが、マイカーローンやキャッシングなどの借り入れがある方や、勤続年数が短いなど方は、住宅ローンの借入可能額が下がるため、住宅予算が下がることもあります。※頭金なし・ボーナス払いなし/35年ローンの場合

限度額ギリギリまで借りてしまうと返済が厳しくなる可能性がありますので、年収の20%以下の返済比率に抑えておきましょう。

返済期間と毎月の返済額の目安

次に、住宅ローンの返済期間や、月々の返済額からみた住宅予算をみていきましょう。

返済期間と毎月の返済額の目安

返済額

返済期間

20年ローン

25年ローン

30年ローン

35年ローン

10万円

2,080万円

2,570万円

3,050万円

3,520万円

12万円

2,500万円

3,090万円

3,660万円

4,220万円

14万円

2,910万円

3,600万円

4,320万円

4,930万円

16万円

3,330万円

4,120万円

4,880万円

5,630万円

18万円

3,750万円

4,630万円

5,550万円

6,340万円

20万円

4,160万円

5,150万円

6,040万円

7,040万円

※金利0.47%・変動金利・頭金・ボーナス払いなし

 

上図をみると分かるように、同じ借入金額でも返済期間が違えば月々の返済額も違います。最長の35年まで延ばせば、月々の返済額は同じでも借入額を増額することができます。

住宅ローンは、後から繰り上げ返済して返済期間を短縮することはできますが、最初に短く組んだ住宅ローンを後から引きのばすことはできません。借主の年齢的な制限がなければ、35年ローンでスタートし、余裕があるときに繰り上げ返済をして返済残高を減らしていくことをおすすめします。

 

 

 

注文住宅で予算オーバーさせないためには

土地を購入後、注文住宅を建てる場合は、「土地代」「建物代」「工事代金」の合計額を住宅予算内に含めて資金計画を立てましょう。

注文住宅で予算オーバーになる原因として多いのが、「土地代と建物代のみで住宅予算を組んでしまった」というケース。注文住宅を建てる際は、土地代と建物代のほかに、外構工事代が必要です。

ただ、予算オーバーする方が多いといっても事前にしっかりと計画を立てておけば防げますので、まずは住宅予算を組んで、自分がいくらの家を購入できるのか、予算内でできるプランはどのようなものがあるのか、明確にしておくことが重要です。

 

まとめ

あらかじめ自分の住宅予算が分かっていれば、予算オーバーは防げます!

マイホームを購入するときに「予算オーバーするのは仕方ない」と思っている方も多いかもしれませんが、住宅ローンの返済が苦しくなってしまっては元も子もありません。各家庭の収入と支出、頭金の有無などを考えてゆとりのある住宅予算を考え、お住まい探しを始めましょう。

 

 

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